お葬式は遺族のために行われるもの

父は60代半ばで、癌が再発して他界しました。最後に入院した時は、次第に食事を取らなくなり、ゆっくりと衰弱していったので、私たち家族も暗黙のうちに覚悟ができ、亡くなった後はお葬式の準備に追われました。

もう十年以上も前のことで、今のように家族葬を大阪で、という案もなく、葬儀会館でのお葬式となりました。手配は全て葬儀会館の営業の方々がしてくれるので、私たちがしなければいけないことは、それほど多くはありませんでしたが、田舎町だったので近所の方々も皆来て下さって、それなりに大きなお葬式となり、久しぶりに会う親類たちへの対応やらで、葬儀の前後はゆっくりする暇がありませんでした。

葬儀が終わって、嵐が去った後のように静かになった時に、あらためて父が死んでしまったことを思い知らされ、ゆっくりと悲しみが込み上げてきました。お葬式があったおかげで、悲しみが紛れていたのです。葬儀は残された家族のためのもの、という言葉を実感しました。