私が初めて参列したお葬式は、社葬です。短大を出て勤めた会社で2年目を迎えた時に、会長(社長の父親)が亡くなったのです。本社勤めだったので、会長をお見かけしたことは2度ほどあったと記憶しています。突然の訃報にショックを受けたのはもちろんですが、その後の社葬騒ぎで、とにかく忙しくなりました。
社員は全員参列したのはもちろんですが、私が所属する部署はどういうわけかお通夜にも全員参列することとなったのです。お通夜に間に合うように喪服を買わなければ!その日は定時に帰って、デパートでアンサンブルの礼服を購入しました。
お通夜とお葬式は、市内中心にある大きな斎場で、行われました。仕事関係の弔問が引きも切らず、その間社員は全員直立不動で、中には貧血を起こした人もいたようです。参列は私にとっては仕事の一つ、社員としての義務でしたが、遺族として弔問客に挨拶をしている社長とその家族の周囲には悲しみが漂っているのが感じられました。社葬といえども、家族にとっては父であり祖父である人のお葬式です。本当はもっとひっそりと見送りたかったのかもしれない、とふと思いました。